最近、インスタグラムやvscocamなどで、デジタル写真をフィルム風加工にするのが面白くて、lightroomでフィルム風RAW現像を自分なりに研究していました。
しかし、やっているうちに、最初からフィルムカメラで撮影すれば良いじゃん?!と思い始め・・・だんだんとフィルム写真に興味か出てきました。
調べてみると、古い機材ならお金もあまりかけずに始められそうだったので、軽い気持ちで中古を買ってみました。選んだカメラは、PENTAX MXです。
PENTAX LXやCanon NEW F-1、Nikon FM2、FM3A、F3や、CONTAX Ariaなど気になるカメラが山ほどあり、迷いに迷ったのですが、機械式シャッターでヤフオク!で安価だったので、でPENTAX MXにしました。
小中学生の頃に「写ルンです」を使ったことがあるだけのほぼデジタル世代の私です。
フィルムカメラの操作方法や機能が分からず、色々とネットで調べたり、いじってみたりして、ようやく使い方が分かってきました。細かい使い方は、ネットの横断検索が必要だったりして苦労しました^^;
なので、今回は私なりに、フィルム一眼レフの使い方をまとめてみました。
PENTAX以外でも、この時代のマニュアルフォーカスのフィルム一眼レフカメラなら、操作方法は共通する部分が多いので、少しでもこれから始める人の参考になればと思います。
フィルムを経験した先輩方には当たり前のことでも、私には知らなかったことが多々あり、とても新鮮でした。
まずは、手に入れたPENTAX MXからザックリ紹介します。
PENTAX(ペンタックス) MXのスペック・特徴
PENTAX(ペンタックス) MXのスペック
- レンズマウント:Kマウント
- ファインダー視野率:95%
- ファインダー倍率:0.97倍
- シャッター:機械式横走り布幕フォーカルプレーン
- 電池:銀電池G-13型×2個またはLR44×2個かSR44×2個でもOK
- サイズ重量:135.5x 82.5 x 49.5 mm 495g
- 販売年:1976年~1985年頃
PENTAX(ペンタックス) MXの特徴
- 機械式シャッターのため、電池が無くても動く!(電池が無いと露出計が動かないだけ)
- 小型軽量
- ファインダー倍率が高い
以上がこのカメラの大きな特徴です。
小さいけどズッシリ・ヒンヤリした金属のボティ。シャッターを切った時の音や感触。ファインダー倍率が高いゆえの大きなファインダー像。
どれを取っても使っていて気持ちが良いです。
多くの操作を自分の手でやらなければならないのですが、それがまた楽しいのです。
では、本題のカメラの使い方、操作方法です。
フィルムの入れ方
カメラのトップにあるこの巻き戻しクランクを真上へ引き上げます。
すると、裏蓋がパカッと開きます。
フィルムを手で引っ張りだし、白いスプール(マジックニードル式スプール)のどこでもいいので隙間に差し込みます。
この差し込みが甘いと巻き上げの時に外れてしまいますので、しっかりと差し込みます。
(最初、私もよく抜けてしまってアタフタしました。)
巻き上げレバーを、フィルムがしっかりスプールに巻き込まれているかを確認しながら、巻き上げます。
巻き上げが完了したら、一度シャッターを切り、再び巻き上げます。
そして、スプール手前の歯車とフィルム端の穴が噛んでいることを確認します。
ここまで行けばフィルムが外れることは、まずありません。
裏蓋を開けるために引き上げた巻き戻しクランクを元の位置に下げ裏蓋を閉めます。
もう一度シャッターを切り、巻き上げレバーで巻き上げます。
そして、巻き戻しクランクを矢印方向に優しく回して、フィルムたるみを取り、フィルムにテンションを掛けてピンと張ります。
巻き戻しクランクに抵抗を感じたらそこでストップ。たるみ取り完了です。
ゴリゴリ回し過ぎるとフィルムが破断しますので注意。
シャッターを切る→巻き上げ→シャッター切る、カメラトップのフィルムカウンターが1になるまで繰り返します。
カウンターが1になったら、撮影準備完了です。
推奨はされていませんが、スリットにフィルムを差し込み、直ぐに裏蓋を閉じて、巻き上げ回数を少なくすれば、フィルム規定枚数よりも1〜3枚ぐらい多く撮れます。
ISO(ASA)の設定
フィルムを無事に入れることができましたら、忘れないうちに、ISOの設定をしておきましょう。
カメラに入れたフィルムがISO200だったら、カメラ本体のISOを200に合わせます。
銀色のボタンを押しながら、シャッタースピードのダイヤルを回すことで、変更できます。
そうすると、設定したISOを考慮した適正露出をファインダー内のLEDでカメラが教えてくれます。
ASAは、ISOのことです。呼び名が違うだけです。
単純にASA200だったらISO200と同じ意味になります。
デジタルカメラに慣れ切っていると、このASA(ISO)ダイヤルを回せば、ISOの調整ができるように思ってしまいますが、ISOを調整するには中に入れるフィルムを交換しなければなりません。
つまり基本的に入れたフィルムを使い切って違うISOのフィルムに交換するまで、ISOは変更できないのです。
いつでもどこでも自由に変更できるディジタルカメラの有り難さをすごく実感できました。
私はこのMXで、MレンズとTakumarレンズ(M42レンズ)の両方を使用しています。
Mレンズだとあまり問題ないのですが、Takumarレンズだと露出計が適正値よりも明るめに表示されてしまいます。
そのためファインダー内LEDを緑ランプに合わせるように絞りやシャッタースピードを調整すると、暗い写真が撮れてしまいます。
カメラが明るいと言うから、シャッタースピードを早くして撮ったら、実際は暗かったので、暗い写真になってしまうということです。
どの位の誤差なのか、デジタルカメラの露出とMXの露出を比べて1段の誤差があることが分かりました。
仕方ないので、ISO400のフィルムを入れた場合、カメラ本体はISO200の設定にしています。こうすることで、露出計の誤差を相殺できるので、露出計の緑ランプ表示に合わせて撮れば、丁度よい明るさの写真が撮れます。
シャッター関係の操作方法
シャッターダイヤル
シャッターダイヤルは、そのままシャッター速度を設定できます。
速度は、B(バルブ)・1・1/2・1/4・1/8・1/15・1/30・1/60・1/125・1/250・1/500・1/1000秒から選べます。
機械式でシャッタースピードを制御しているのですが、よく精度がでるなあと感心します。
電子制御の方が技術的には複雑なのでしょうが、電子制御があたりまえ育ちの私には、機械式制御の方がスゴいと思ってしまいます。
1秒などに設定すると、「ジーッ」という機械式特有の音が1秒聞こえ、「パシャン」とシャッターが切れます。
巻き上げ確認のインジゲーター
シャッターは巻き上げが完了していないと、切れませんので、巻き上げが完了しているのかいないかを確認するために、シャッターボタンの左にインジゲーターがあります。
オレンジ色だと巻き上げが完了していることを意味します。
シャッターロックスイッチ
シャッターボタンの下に、ロックスイッチがあります。
これを回すとロックを表すLの表示が現れ、シャッターボタンを固定できます。
巻上げ状態で持ち運ぶ時に、誤ってシャッターボタンに触ってシャッターを切ってしまわないよう誤動作防止の意味で役立ちます。
ただし、ロック状態であっても、セルフタイマーを使うとシャッターが切れてしまうので注意です。
また、シャッタースピードをB(バルブ)にして、シャッターボタンを押し込んだままロックすることで、シャッターを切った状態をキープすることもできます。
活用法はよく分かりませんが、花火を撮るときにリレーズを忘れ黒い内輪でレンズを隠して、シャッターを切った状態でロックして、内輪で手動シャッターとかやる場合に使う?
他には、メンテナンスの時に使う?恐らくそんな感じだと思います^^;。
セルフタイマー
このレバーを反時計周りに90〜180度倒すとセット完了。
レバーを倒すと銀色のボタンが現れますので、それを押すとタイマースタートします。
ジーッというゼンマイ音が鳴り、レバーが時計回りをして元の位置までゆっくり回っていき、元の位置に戻った瞬間にシャッターが切れます。
レバーの動きを見ていれば、シャッターが切れるタイミングが分かりますし、レバーを倒す角度を調整することで、タイマーの時間を調整できます。
90度倒すと約7秒、MAXの180度まで倒すと約15秒のタイマーとなります。なかなか合理的な仕組みですね。
あと、このセルフタイマーレバーを時計回りに倒すと、レンズの絞りリングで設定した絞りまで絞り込む「プレビュー」ができます。
ストロボ端子
すみません(^_^;)。使ったことがないし、使い方もイマイチ分かりません。
取りあえず、アクセサリーシューにX接点が。ボディフロントに、FP接点とX接点がそれぞれあります。
各接点の意味や使い方は、wikipediaにて(^_^;)
ファインダー内の表示
シャッタースピードと絞りの表示
上側には、絞り表示があります。
この絞り表示は、直読窓よりレンズの絞りをファインダー内から光学的に見えるようになっています。
すごくシンプルで面白いですね。
Takumarレンズだと、Mレンズの絞り表示と少しズレがありますので、ファインダーからは見えにくくなってしまう欠点がありますが。
ファインダーの見方
この時代のファインダーは、真ん中にスプリットイメージがあり、その周りにマイクロプリズム、更にその周りがマットになっているのが一般的だったようです。
スプリットイメージは、ピントを調整していくと、上下の像がズレて行き、上下でピッタリ像が合っている部分がピントが合っている場所です。
マイクロプリズムは、ザラザラに見えるのを、ピント調整していくと、クリアに見えるようになり、一番クリアになった所がピントが合った場所になります。
マットは、ぼやけて見えるのが、一番クリアに見えたらピントが来ているということになります。
上記写真の障子の桟にピントを合わせてみました。
スプリットイメージも上下の線がピッタリ重なっていて、マイクロプリズムもザラザラしていないので、ピントが合っていることが分かります。
私は、最初この見方が分からずに調べました(^^;)
露出計
露出センサーの情報をISO設定とシャッタースピード、絞りを考慮して、適正露出がファインダー内のLED表示より分かります。
露出計(LED表示)は、シャッターボタンが反押しにした時のみ動作します。
動作しっぱなしにしたい場合は、巻き上げレバーを少し手前に引いてから、シャッターボタンを反押しにすることで、露出計(LED表示)を、巻き上げレバーを元の位置に戻すまで動作しっぱなしにも出来ます。
ファインダー内のLEDは5つあり、以下の順番で縦に並んでいます。
- 赤:1段以上オーバー
- 黄:0.5段オーバー
- 緑:適正
- 黄:0.5段アンダー
- 赤:1段以上アンダー
を意味しています。
このPENTAXTAX MXは機械式なので、この露出計のみ電池駆動となっています。
この表示方法、以外と分かりやすくて好きです。
開放測光について
このPENTAXTAX MXは、開放測光に対応しています。
開放測光とは、絞りダイヤルを回しても実際の絞り込みは行いません。
なので、絞りダイヤルを回して露出を調整しても、ファインダー内は暗くなることなく、見やすい状態でピントや構図を決定できます。
そして、シャッターボタンが押された直後に、設定した絞りまで自動で絞り込まれ、シャッター幕が開き露光されます。
この開放測光の仕組みは、今のデジタルカメラを同じ方法ですね。
しかし、ここで疑問が。電子接点がないレンズが、どのように絞りリングで設定した値をカメラボディに伝えているのだろうか?ということです。
これは、レンズ側に絞りリングと連動して動くレバーとボディのマウントにあるレバーが機械的に連動することで、絞りリングの絞り値をカメラボディに伝え、レンズの絞りを考慮した露出計の結果をファインダー内に表示してくれるのです。
(参考)Takumarレンズで絞り込み測光で撮影する場合
(読み飛ばして頂いて結構です)
参考ですが、PENTAX Mレンズを使用すると、上記のように開放測光で使えるのですが、Mレンズの前世代のTakumarレンズ(M42レンズ)をアダプターを使って撮影すると絞り込み測光になってしまいます。
フィルムはやり直しが出来ないし、撮影結果も直ぐに分からないので、Takumarレンズを使う場合でも、しっかり確実にピントを合わせて撮影したい。
なので、開放測光のようにピントの山が分かりやすい明るいファインダーでピントを追い込みたいので、Takumarレンズを使う時は、以下のような手順で撮影しています。
- ザックリとピント合わせる
- レンズのスイッチをmanualにして、絞りリングを回す(この時、実際に絞り込まれるので、ファインダーに見える像も暗くなります)
- 露出計のLED表示を参考に絞りを決定
- レンズのスイッチをAUTOにする(AUTOにすると勝手に絞りが開放になり、ファインダーが明るくなる)
- 明るいファインダーでピントをしっかり合わせる
- レンズをマニュアルに切替える(③にて設定した絞りまで勝手に絞り込まれる)
- シャッターを切る
以上の非常に面倒くさい操作をしてます。
開放でピントを合わせてから、絞り込んで測光して絞りを調整する方法もありますが、被写体が動いてしまったり、自分が動いてしまったりすることもあるので、ピント合わせからシャッターを切るまでのタイムラグを極力少なくするために、上記の操作手順でやっています。
開放測光のありがたみがよく分かりました。
MレンズかAレンズを揃えてしまえば、こんな面倒なことをしなくてもいいのですが、予算が無くて・・・。
今持っているMレンズは、安価なPENTAX M 50mm F2のみ・・・。
フィルムの巻き戻し方法
フィルムを使い切ったら、カメラのスプールに巻かれているフィルムを、パトローネ(フィルムケース)に巻き戻します。
巻き戻しをせずに、裏蓋を開けると感光してしまい、現像しても真っ白になってしまうので注意です。
(底面にはシリアルナンバーがありますが、↑画像では、Lightroomで消しています)
巻き戻しクランクを矢印方向に回して巻き戻して行きます。
巻き戻しクランクが軽くなり、負荷を感じなくなったら、巻き戻し完了です。
巻き戻しクランクを上に引っ張り、裏蓋を開けてフィルムを取り出します。
これをお店に持っていき現像して、プリントや電子化して貰うと、ようやく写真の出来上がりです。
現像に出す
業者に現像をお願いして、プリントしてもらうか電子化してもらうまで、どのように撮れたか分かりません。
どんな写真が撮れたか、直ぐに分からなので、デジタルでは味わえないドキドキワクワク感を楽しめますね。
現像・プリントは、今のところ特にこだわりはしていないので、値段重視で安くやってくれる神戸アビックスさんにお願いしています。
いつも、現像+L版プリント+CD保存(電子データ化)のプランで、フィルム郵送でお願いしています。
カメラのキタムラさんにも出したことがありますが、正直、神戸アビックスさんとの仕上がりの差はよく分かりません。
他と比べて、時間が掛かるのがネックのようですが、値段も安いし、評判も良いし、実際の仕上がりもまあ良いのでおススメです。
フィルムカメラの良さ
フィルム一眼レフカメラについて、調べたこと・触って分かったことをまとめてみました。
私の場合、1ヶ月~2ヶ月に36枚フィルムを一本使い切るスローペースでのんびりとやっています。
やっぱり、凄く味のある写真が仕上がります。
デジタルでも真似しようとも思いましたが、やっぱりあの雰囲気を出すのは難しいです。
フィルムには、上記のように表現というメリットもありますが、もうひとつメリットがあるように思います。
それは、”写真が上達しそう”ということです。
一枚辺りのコストを考えると、簡単にはシャッターを切れないので、よく考え大切に撮るようになります。
そして、デジタルなら失敗写真は直ぐに消してしまいますが、フィルムは失敗写真でもしっかりと手元に残りますので、嫌でもよく反省することが出来ます。
フィルムが少しづつ値上げして、いつまで続くか分からない状況ですが、機材はかなり安く中古で購入できますので、興味がある方は早めに手を出して一緒に楽しんでしまいましょう!